【活動報告】外国人労働者の健康支援が集結!日本産業衛生学会関東地方会で「外国人労働者」をテーマに基調講演とシンポジウムが開催されMINNAメンバーが登壇しました

 2022年9月16日、17日に茨木県神栖市にて日本産業衛生学会(産業医や産業保健師、衛生管理者を中心とした学会です)の関東地方会が「外国人労働者」をテーマに開催されました。現地参加は約40名、WEBでは100名を超える参加者がありました。今回は、本学会の幹事で、MINNAメンバーでもある田中完さんのレポートをお届けします。

「16日はアジア経済研究所/MINNAの佐藤寛さんが「ビジネスと人権をめぐる世界の動き~産業保健職の立ち位置は?~」という題で、今までの日本の外国人労働者の歴史と流れ、世界の状況、ビジネス背景などをわかりやすく講演いただき、その流れのなかで周囲の日本人の役割と、特に職場では産業医や保健師が事業者・医療機関につなげる非常に大事な役割が期待されていると興味深い提案をいただきました。また国立国際医療研究センター/MINNAの藤田雅美さんから指定発言を「外国人の保健医療アクセスに関する課題:産業衛生の専門家の方々と一緒に考えたい事」でお話しされ、必要な保健医療につながっていない現実、つなぎとしてFBにたどりついたこと(ホームページを多言語化すればよいという話ではない)などから、①ことばの壁、②つなぎの重要性、③つないだ先に解決策がないという問題があるとわかりやすく説明いただきました。翌日の17日には「外国人労働者の事例と産業保健職に求めること」というテーマでシンポジウムが開催されました。茨城労働基準協会連合会の橋本篤弘さんからは「外国人技能実習生に対する技能実習の実状」という題で、フォークリフトや溶接業務に携わるために必要な技能実習や試験が日本語でしかないこと、それにより業務の幅が狭くなったり待遇の良い仕事ができないため、いかに多言語化して実施してきたか、の事例を紹介いただきました。国立国際医療研究センター/MINNAの神田未和さんからは「コロナ禍で見えてきた外国人労働者の保健医療サービスへのアクセスの課題とMINNAの取り組み」という題で、コロナ禍に見えてきた様々な問題(失職、生活困窮、いじめや医療機関につながれない言葉の壁 等)について解説をいただき、それらの活動の中から専門分野の方を集めて作ったベトナム人むけの健康ハンドブックについても説明していただきました。3人目は医療ベンチャー(企業内ベンチャー)として活動する下田拓海さんに「三菱地所の社内ベンチャー「WELL ROOM」が取り組む、日本で働く外国人の健康サポートサービス」という題で、ご自身の経験を通して多言語によるメンタルヘルスケアサービス、産業医サービス、健康診断サービスを提供する事業事例を紹介いただきました。最後は株式会社 TMAP 健康管理事業部の村川剛史さんに「外国人技能実習生のコミュニケーションと健康診断」という題で、普段行われている健康診断で、多言語化という構えたものではなくて現場でできる工夫(ちょっとした指示を多言語化したり、ゼスチャーしたり、イラストを用意する)やリラックスして受診してもらうために心がけていることなど紹介いただきました。それぞれのシンポジストの方が独自で活動されていることですが、共通点や連携することでより強い支援ができるのではないかといった意見があり、会の終了後も会場外で話し合いが尽きないなど、非常に盛り上がった会となりました。」

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