「日本ではたらくベトナム人のための健康ハンドブック」の電子版サイトを作成しました

みんなの外国人ネットワーク(MINNA)の構成メンバーであるNCGM 国際医療協力局が、IOMベトナム事務所の委託を受けて、MINNAを始めとする多くの方々の協力を得て作成した、「日本ではたらくベトナム人のための健康ハンドブック」の電子版サイトが完成いたしました。
こちらのハンドブックの制作については、こちらの記事をご覧になってください。

ベトナム語と日本語の切り替えができるので、ベトナム人の皆さま、周囲の日本人や日本語が読める方々など、より多くの人に知ってもらい、活用してもらえると幸いです。

下記は、電子版サイト作成プロジェクトチームを率いたMINNAメンバーによる、開発の留意点や工夫等です。

ハンドブックの電子化プロジェクトについて

日本ではたらくベトナム人のための健康ハンドブック電子版サイトを作成した活動内容について報告いたします。

ハンドブック電子版サイト作成 プロジェクトは、日本で働いている、またはこれから働く予定のベトナム人に、「日本の医療機関の利用方法や健康保険の仕組み、困ったときの対処方法やサポート機関がある」ということを知っていただくために、開発しました。現状としては「外国人相談などの窓口」があっても、困った外国人が保健医療サービスにたどりつくには通訳や人的リソース不足などの課題があります。このハンドブック電子版サイトは、情報伝播だけでなく、外国人の方々や周囲の人たちがそれらの問題について相互に話し合っていく「きっかけ」にもなれればと思います。

 開発は、MINNAの医療専門家チーム、ベトナム向けSNSメディアの一般社団法人TAIHENネットワークとともに行いました。私は、IT専門家として、MINNAの医療専門家チームとTAIHENネットワークの橋渡し役を担いました。

まず、週1回をベースに会議をもち、ハンドブックの内容が広くベトナムの方々に読まれるためにはどのようなデザイン、構成にしたらよいのか議論をしました。結論として、「検索ができること」「Facebookでのコミュニケーション機能を利用できること」「困った内容ごとの支援先情報がすぐわかること」を重視し、ハンドブックの読み物としての構成から、サイトに向けた構成に変更しました。また、Web上での情報伝播・コミュニケーションを調査するためGoogle Analyticsなどのアクセス解析機能を備えました。

これらの要件を、MINNAの中でまとめ、それをIT開発者(TAIHEN)でもわかるように「翻訳」し、相互の理解に齟齬がないか確認しながら打ち合わせを進めていきました。異なるバックグラウンドを持つ専門家同士のコミュニケーションで気を付けなくてはいけないことは、一般的な用語であるほど、専門性によって定義や文脈上の解釈が違うということです。例えば、コミュニケーションモデル、支援モデルという用語の解釈が、医療専門家とIT開発の立場では異なる意味をもつため、「橋渡し」が必要でした。モデルやフレームワークを実際のWebサイトを用いて実証するためには、どのような機能、設計を兼ね備えているのが良いのか、相互の理解の仕方が異なることを気づかされました。これからも議論を続けて、改良をすすめていくつもりです。

 今回の開発活動を通じて、実施していくうえで重要だと考えた点をあげます。

  1. 「なにをしたいか」「なぜをそれをしたいのか」を相手に伝えること。これを伝えることにより、チームが「サイト構築」ではなく、「ひろく支援情報を認知させる、支援活動の相互作用を高める」という目的に外れない提案をし続けることができます。
  2. 話し合った内容を文字、画像にして、お互いの認識を確認しあうこと。IT専門家と医療専門家では、実装する機能やシステム要件が「何をするのか」に対する理解が異なります。例えば「サイト利用者に個別クッキーが渡され、参照元が分かる」機能は、言い換えれば、「サイトを見に来た人が、どのサイトから来たかわかる」という理解として、医療専門家に伝え、その機能が本当に必要なことなのか議論して、結論を出す作業を積み重ねました。
  3. 情報の取り扱いやデータガバナンスを考慮すること。医療関連の支援機関の紹介の取り扱いでは、センシティブな情報を取り扱う可能性があります。今回の開発では、どこまでの個人情報を取り扱う可能性があるのか開発者(TAIHEN)と議論し、現段階では個人情報を取り扱わない方向でサイトを構成しています。またサイト内に載せる情報においても支援機関の情報公開の範囲や著作権などを確認しました。

こちらが、完成したハンドブックになります。

以下は、参考に電子版の画像の一部です。 (報告者:MINNA柴崎)

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